東京ワインコンプレックス(Tokyo Wine Complex)

アメリカワイン特化型インポーターによる まるで株主優待のようなホスピタリティー

〈フイルコンサービス株式会社〉飯野和夫さん


超レアなワイナリーと信頼関係を結ぶ
フイルコンサービスならではの秘密とは?

「アメリカのピノ・ノワールのナンバーワン生産者」といわれ、その生産量の少なさから現地でも手に入れることが難しい、カリフォルニアの〈アーチェリー・サミット〉。
個性的なミクロクリマを持つ四つの農園の葡萄を駆使して、高品質なハンドメイドワインを造り出しているオレゴン州ウィラメットヴァレーの〈アン・アミー・ヴィンヤード〉。
ワシントン州コロンビアヴァレーとオレゴン州ウィラメットヴァレーにあわせて840エーカーの農場を展開し、高品質なワインを造り出している〈ダックポンド・セラーズ〉。
そして、〈ダックポンド・セラーズ〉とは親子関係にあり、試飲設備、ビジネス会議室、宿泊施設、結婚式場など多彩な展開をしている〈デサート・ウィンド・ワイナリー〉――などなど、「フイルコンサービス株式会社」は、伝説的ワイナリーを数多く取り扱う、アメリカ特化型インポーターとして知られています。
いずれも、世界市場から引く手あまたのワイナリーばかり。当然、「どうやって、伝説的ワイナリーとコンタクトをとり、パートナーシップを結ぶの?」という疑問が湧いてきます。
その疑問を、同社で窓口を務めておられる営業部部長調査役の飯野和夫さんにお尋ねしたところ、成程、他ではちょっと真似のできないいきさつゆえに、今日の「フイルコンサービス株式会社」さんが存在している…という背景を、教えていただきました。

「こんなワイン飲んだことない!」
大企業の機動力でインポート会社設立

 「フイルコンサービスの母体は、『日本フイルコン』という会社で、製紙用のワイヤーを製作する企業です。ブロンズ線を細く引いたワイヤーを重ねて、紙を漉くわけです。我社のワイヤーを用いると、幅は5〜6メートル、全長は2〜300メートルもある紙を作ることができるんですよ。」
 いかにも愛社精神一杯…という感じで、話してくださる飯野さん。
 「昭和50年頃まで、内需100%、シェアも100%という元気な企業でした。やがて、海外から紙が入ってくるようになると、『迎え撃つばかりが能じゃない、いっそ海外に進出しよう!』ということになりました。そんな経緯から、アメリカのオレゴン州に事務所を構えたのは1997年のことです。」
 オレゴンでの活動が軌道に乗りはじめた頃、たまたま現地の知り合いから、「知り合いがワイナリーをやっているんだ。よかったら、日本で売れるように面倒を見てやってくれないか」と、相談がもちかけられたそうです。 ビジネスというほど大げさなものではなかったので、軽い気持ちでワイナリーを訪問した当時の担当者は、そのワインのあまりの美味しさに瞠目したといいます。
「こんなワイン、飲んだことがない!」
勢いのある企業には、機動力があります。その感動はすぐさま日本に報告されました。
「品質が高く、誰が飲んでも美味しい解りやすさがあり、さらに日本では手に入らない……とプレミアム要素が三拍子揃っている。早速、『これは株主総会の記念品として最適ではないか』、ということになりました。そこで株主様にお贈りするワイン専門の輸入会社として、1999年にフイルコンサービスが設立されたのです。株主様限定、とはいえ『日本フイルコン』の株主様は約一万人。数量的には充分にインポーターとして機能できてしまうというわけです。」
ちなみにその最初のワイナリーは、〈ダックポンド・セラーズ〉だったそうです。
インポーターさんとしては少々ユニークな経緯での設立ですが、しかし、サービスやホスピタリティーを磨く…ということにおいては、むしろ好都合だったのかもしれません。

株主さんたちに鍛えられた究極のホスピタリティー

多くの株主さんたちは、食通であり、情報通。「この匂いはブショネではないのか?」「この味わいは葡萄の個性なの?」などと、プレミアムワインであるからこそ、ひと一倍敏感な反応がかえってきたそうです。そうした質問やクレームに対応する際に、企業としての「株主様へのホスピタリティー」精神が発揮されました。さらに、株主さんたちを一層喜ばせるために「フイルコンサービス」さんは、次々と知られざる秀逸なワイナリーとの信頼関係を開拓してゆきました。こうした切磋琢磨が、今日の「フイルコンサービス」を築き上げたといって、過言ではないでしょう。
やがて株主さんたちの間から、「あのワインはどこで買えるの?」「あのワインが飲めるレストランはあるの?」などという声が高まってきたそうです。そこで2009年2月、「フイルコンサービス」さんは満を持して小売りやレストランユースへの展開を開始しました。
プロジェクト責任者に就任した飯野さんは、「先年までプリンターの歯車を扱っていたのですよ」と笑いながらも現在、大奮闘中。異業種から参入し、独自の市場を築き、ユーザーとはひと味違う株主さんへの対応に磨きをかけてきた会社の歩みを、追体験しているような気持ち…だそうです。
「アイテムはレアなものばかり。しかも、複数のワイナリーを集結させ、大量のワインを一気にコンテナ輸入するのでコストが抑えられる。そして、今までずっと外販経験がなかったなんでしょうか…どうもうちのワインは、社販価格がベースになっているらしい(笑)。価格設定が『安い』って評判なんですよね。日本の店頭に並んだ値段が、現地より安い…なんて例もあるくらいで。」
と、飯野さん。まさに語りどころ満載の〈フイルコンサービス〉さんのワインです。
そのワインを味わう時、ユーザーは、まるで株主優待を受けているようなホスピタリティーを感じることでしょう。チャンスがあれば、飲んでみて損はありません!

インタビュー・文:高山宗東

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