東京ワインコンプレックス(Tokyo Wine Complex)

深い知識と軽やかな対応性を合わせ持つスペインワインのプロフェッショナル

〈株式会社 ス・コルニ〉岩間忠さん


「読み物」として面白い
郵送情報通信『ス・コルニっ記』

 日本ではとてもめずらしいスペインワイン特化型のインポーター〈ス・コルニ〉さんからは、時折A3サイズの新聞状の通信『ス・コルニっ記』が届きます。
 業界の話題、ワイン関係の新知識、生産者来日報告、インポーターさんのちょっとしたつぶやきなどなど……情報満載のこの通信は、読み込めばよみこむほどに面白い、「読み物」としての醍醐味に溢れています。
 情報発信といえば、インターネットやブログ、メールなどが全盛の現代に、『ス・コルニっ記』はあえて、より手間と費用のかかる郵送にこだわっています。その背景には、編集を担当されているディレクター岩間忠(あつし)さんの深い思い入れと、延いては〈ス・コルニ〉という会社自体のフィロソフィーが、深く関わっています。

自分が得た感動を、多くの日本人にも!
ワインのイメージを覆したスペインワイン

 〈ス・コルニ〉の母体は、スペインのアパレル関係の輸入会社だったそうです。太陽が燦燦と降り注ぐ国で育まれた鮮やかなラテンファッションは、世界中で大人気。ことにバカンスの季節向きの、身につけるだけでワクワクしてしまうようなアイテムがいっぱいです。思わず微笑がこぼれるようなセレクトセンスは、ワインに特化した〈ス・コルニ〉さんにも受け継がれているようです。
ところで、〈ス・コルニ〉の代表取締役田中繁男さんは意外にも、ずっとワインが大の苦手だったとか。しかし、仕事で訪問したスペインで、スペインワインを口にして、「ワインって、こんなに美味しいものだったのか!」と大仰天。ヨーロッパの他の国々とは、比べものにならないくらい豊かな日差しに育まれたスペインワインが、それまでワインに対して抱いていたネガティヴなイメージを、綺麗に払拭してしまったとか。
 田中さんはその後、平成10年にスペインワインを専門に輸入するインポーター〈ス・コルニ〉を設立します。ワイン嫌いだった自分を180度変えてくれたスペインワインの感動を、多くの日本のひとたちにも……という思いが原動力だったのでしょう。 ひとに感動を伝えるには、まず自分が感動することが、大前提ですものね。

〈ス・コルニ〉が解ればスペインがわかる
窺える、専門インポーターとしての矜持

 〈ス・コルニ〉では、現在スペイン各地の17ものワイナリーと取引をしているそうです。
 「日本に数件しかないスペインワイン専門のインポーターとして、牽引的な役割を果たす」…などと大きなことは決して仰いませんが、そのラインナップを見れば、スペインワイン専門のインポーターとしての矜持をしっかりと受け取ることができます。 「もしスペインワインで解らないことがあれば、大抵のことにはお答えできると思います。仮にお答えできないことでも、だいたい何処を調べれば解る…ということくらいの見当はつきますから、なんでも訊いてくださいね」とは、謙虚な岩間さんの言葉です。  遍く国内の産地を押さえ、代表的な品種、特徴的な造りなどのポイントを踏まえたチョイスからは、〈ス・コルニ〉さんが取り扱うワインを知るだけで、スペインワインの全体像が窺えます。
また、造り手の哲学や家族構成にまで触れた詳細なカタログは、レストランや酒屋さんが一般消費者にワインを薦める際、便が良いよう纏められています。
その他、価格や流通など配慮されたさまざまな設定からは、スペインワインが日本の市場に広まってゆく道すじを、きちんと立てようとしている姿勢が見えてくるのです。

相手の立場だったら、どうするか?
常に問い続けることが、市場を活性化させる

 「自分が相手の立場だったら、どうするか?――ということを常に考えています。」  と、岩間さん。
 「こういう仕事を続けていると、どんどん眼や口が肥えて、珍しいワインやスゴいワインを扱いたくなる。でも、お酒を普通に飲んでいるひとや、実際に小売りをする酒屋さんの立場になれば、やっぱりコストパフォーマンスの良いワインも大切。情報発信もそうですよね。バンバン送られてくるメールを、本当に自分が精読しているかといえば、大抵は読み流してしまっている。じゃあ、自分は何なら読むだろうと考えた挙句、郵送されてきた新聞みたいな通信で、記事として役に立つ情報が掲載されていれば、何度も読み返すかも…とね。ひとりよがりではいけないんだなあ、と特に最近、痛感しています。」
 だから、印刷した『ス・コルニっ記』の余白には、気がついたときにはなるべく手書きのメッセージを添えるとか。なるほど一文添えられてうれしいのは、年賀状と同じ理屈です。
「〈ス・コルニ〉のワインは凄いですね。現地に行って同じモノを飲んだら、普通は現地の方が美味しいのに、味が同じだった!」なんて返事が来ることも、たまにはあるとか。それがうれしい、と手間を惜しまない岩間さんに、スペインワインとの関わりをおうかがいしてみました。
 「昔からお酒の一種としてワインは飲んでいましたが、スペインワインにこれほど関わったのは、この会社に入ってから。産地の名前にリアスなんとかというのが多くてあって、どういう意味なのかなあ…と思っていたら、これが『入り江』という意味なんですね。僕、三陸海岸の出身でしてね。『リアス式海岸』ってのはこのことだったかあ!と(笑)、とても親しみがわきました。飲んでみれば、和食にもぴったり。ガリシアの白と魚介、ナバーラのロゼと煮物、マンサニージャと塩辛…の相性なんて、他の国のワインではちょっと無い感動です。」
 それは美味しそうですね――というと岩間さん、「実家が魚屋なので」と笑いました。
なるほど、魚屋さんの立場に立った、見事なマリアージュです!

インタビュー・文:高山宗東

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